megamouthの葬列

長い旅路の終わり

世にも惨めな我が子への手紙

46歳になって、お前のことを――俺の生まれなかった子のことを考えた。生まれかけた命をどうこうする話ではない。そういう話が書けないというより、俺の人生には最初からその入口がなかった。入口がなかった理由は、いくらでもそれらしく言える。病気、金、仕…

ビジネスとかいう採点表のないインチキスポーツ

ビジネスに負けた、という言い方は便利すぎると思う。何に負けたのか説明できないとき、最後に置ける単語だからだ。提案して音沙汰がない時、コンペで選ばれなかった時、いろいろ要因を洗っても落ち度が見つからない時に、誰かが言う――「ビジネスに負けた」…

本屋の宗教

帰りの電車でドア横に立つ。幹線道路のヘッドライトが地平まで繋がっている。車は帰っていく。僕はただ見ている。いつのまにか本が読めなくなっていた。読めないのに本屋には行く。意味がわからないと思うけど、僕にもわからない。たぶん習慣だ。かつて本屋…

エンジニアの技術と給料

お金、それも給料の話は、あさましい、ということになっている。婚活パーティーでもなければ隣の席の人間がいくら貰っているか堂々と聞くこともできない。かつてGoogleで、自分の給料を全社員が見られる共有スプレッドシートに書き込み、公開を促した女性が…

2026年の椅子取りゲーム

商談サイトに掲載されている案件をクロールして自動的にAIで提案書を作成、提出するという人の話を聞いて、どうにも反応に困って「そのメンタリティが素晴らしいですね」と答えたのだが、どうも先方の望む答えではなかったようで、苦笑いされてしまった。「…

残業キャンセル界隈と企業カルチャーの死

news.yahoo.co.jpZ世代が残業をキャンセルして大変らしい。それでなくとも、理由も告げずに有給休暇をとる、注意や指摘をハラスメント扱いする、さらにはそれらが高じて、あろうことか、信じられないことに、給料が安いという理由で会社を退職するというので…

ビジネスの耐えられない柔らかさ

AIのせいか年をとったせいか、おそらくその両方で、ビジネスのやり方が変わって、ふんわりした話にばかり関わっている。「生成AIを使って暗黙知化したプロセスを形式知化して、御社のサプライチェーンをオプティマイズして、セールスをグロースさせます」と…

今、僕たちがAIと掘っている穴

皆が忘れかけているので、ChatGPTが登場する直前のIT業界がどんなだったか、というのをちゃんと振り返っておきたい。ChatGPTの登場は2022年11月だから、2022年10月のはてなブックマークを見ていると、ちょうどいい記事があった。qiita.comReadableなコード、…

ジョニーはブラック企業へ行った

ヒンドゥーに、二つの体が抱き合う姿をした神がいる。 一体は魔王で、もう一体はそれを鎮めるための観音菩薩だという。その神は障害を取り除き、莫大な富をもたらすが、祀り方を間違えれば、あるいは、捧げるものを怠れば、あらゆるものを奪い去っていく。 …

限りなく透明に近いおぢ

最近死に支度をしている。具体的にいつ、というのがあるわけではないが、もう46歳だし、飼っていた猫は死ぬし、やることもないし、死に支度は早いに越したことはないという話だから。死についての遠藤周作の本に、「老年に達すればあとは邪魔をしないように…

今はもう遠い昔。あの雲のむこうにはFlashがあった

どこか遠い場所の話をするように、人々は「昔のWebは楽しかった」と言う。結論から言えば、昔も今もWebは楽しいし、つまらない。昔と今で何が違うかといえば、大統領やその側近がSNS中毒でなかったことと、Flashムービーがあったことぐらいだ。 * Flashとは…

プロジェクト炎上のこころ

炎上しているプロジェクトで、タスクが溢れて捌ききれません。優先順位の付け方や効率的なタスク管理術を教えてください!おやおや、今日のお客さんは随分差し迫った様子だね。シャツの裾が燃えてるんじゃないかっていうぐらい、焦げくさい匂いがするよ。ま…

潰れたほうがいいようなマイナーなサービスと世界の守護者

CRMならSalesforce、勤怠管理ならfreee、在庫管理ならスマレジ。SaaSの世界にも代表選手はいて、その機能や安定性を思えばリーズナブルな価格で提供されている。それでなくとも、業界5位ぐらいまではそこそこ使いやすく、よくメンテナンスされたサービスを使…

ガラス板の向こうから挨拶を

放送大学に入るための卒業証明書を取りに約30年ぶりに母校の高校に向かった。無職らしく平日の午後のことだった。 公園や寺院、閑静な住宅の間をしばらく歩いて校門をくぐり、事務室にお伺いをたてると、事前に電話していたこともあって、事務員は訳知った顔…

なぜプログラマはずっと夢中でいられるのか?

息子がずっとパソコンに向かっていて困っています。 暇さえあれば緑色の英字だらけの真っ黒な画面を見つめていて、正直言って、傍から見ていて異様ですし、少ない家族との会話の間も心ここにあらずといった様子です。 昨日など、私との会話を途中で打ち切っ…

灯光

大阪には環状線という全長20kmほどの路線があって、昔、その線路沿いを友達と3人で徒歩で一周したことがある。 どういう理由だったかは覚えていない。多分3人が3人とも暇を持て余していて、いつもの遊びを繰り返すのにも飽きてしまったぐらいの理由だったと…

夜はバンコックへ

そのタイ人の女とモニター越しに出会ったきっかけはSkypeMe!だった。SkypeMe!というのは初期のSkypeについていた機能で、自分のステータスを離席中とかオンラインからニッコリマークのSkypeMe!に変えると、「今なら誰でも話しかけてOK!」という意味になって…

AIだけどAIじゃない

AIブームである。私のような場末のエンジニアにまで、AI案件の話が飛んでくる始末だ。AI案件とは、だいたいにおいて、「ChatGPTのようなAIに我が社の長年の課題(属人化している業務や、時間のかかる業務)を代替させ、業務効率化を図る」という趣旨になって…

もしもボスが狂ったら

連日、アメリカ大統領の発言がニュースになる。クルーグマン氏によると、彼は「完全に狂っている」そうだが*1、将来ビザが下りなくなる事態を避けたい*2私としては、トランプ大統領が、正気なのかそうでないかをはっきりと断定することはできない。ただ、上…

好きなことで生きていく

昔DeNAの新人が入社後半年だかの振り返りのプレゼンの中で「うまくモチベーションが上がらなくて」ということを言った時に、南場社長が「社会人がモチベーションで仕事をするな」とすごく怒ったという話*1があって、とても印象に残っている。また、これは実…

件数噺(くだんばなし)

ITシステムを必要としている企業は多くある。 そして私の頭の良さもそれなりに知れ渡っているものだから、相談に乗ってほしいと言われることがあって、その度にノコノコと出かけていく。今回の相談は、受発注システムの非属人化だ。本来のそれは古い基幹シス…

預金残高0で終わる技術

以下は、一風変わった技術本をzennあたりで書こうと思って書いた序文である。 AIの台頭で技術本のアイデアは霧散したので、ここに残すことにした。プログラマとしての仕事を辞めて半年ほどで預金がつきた。前の職を欠勤、欠勤、そのまた欠勤で辞めたせいで、…

例えば、老母との喧嘩を警察に通報すること

ずっと更新していなかったブログを、金を払うのさえ忘れてしまってアドレスすら変わってしまったこのブログに新しくエントリを追加する気になったのは、どうも自分は死ぬらしい、と思ったからだ。 誤解のないよう付け加えると、今死にたいとか何か深刻な病気…

中年IT人材おじさんの平穏

IT人材が不足してるんだって。零細Web制作会社で言えば、退職者が残したubuntu12サーバーに眠るRails5アプリをすぐにDDDでマイクロサービスに再構成して、jQuery満載のコードを全て読み下したうえで、フロントエンドをReactかなんかのSPAに全部書き換えて、E…

事業のわかるITエンジニアはどこにいるのか

「事業のわかるITエンジニアが全然いない」問題というのがある。 Twitterあたりでは割と禁句というか、ほぼ確実に荒れる話題で、言えば燃える。 誰かの言葉を引用するのも差し障りがあるので、頑張って再現してみると エンジニアは文句ばっかりで、マネジメ…

パラノイアのプログラマと第6感

今だから白状すると、昔、運営していたサービスの一般ユーザーのパスワードをハッシュ化(暗号化)せずに平文でDBに保存していたことがある。言いわけは、幾つかある。 一つは、今では当たり前のようについているパスワードリマインダーの仕組みが当時は一般…

今月の懺悔、アフターコロナ時代の葬列

お久しぶりです。 この懺悔と称する、埋め草のエントリー。それほど意味がないし、何より自分で読み返しておもしろくないので、もうやらないつもりだったんですが、うっかりカクヨムのほうに小説を載せてしまって、このブログからリンクがないのも不親切な気…

ソリティアおじさん

中年になったのでソリティアおじさんになりたい、と思った。西日差す窓際で、Windowsに入っているソリティアというゲームを日がな一日やり続けて、給料を貰っているおじさんにである。ソリティアおじさんは伝説の存在だ。私も実は、目にした事はない。主に大…

プログラマと出世

就職することになって、つまりは私が職業プログラマになって、それを聞き知った叔父が私を訪ねてきた。「プログラマってのは、若いうちはいいが、長くはできないんだろう?」リビングの炬燵に潜り込んだ叔父は寒そうに体を震わすと、最初にそう尋ねた。 当時…

電通のビジネスはなぜ嫌われるのか

久しぶりなので、どうでもいい話をする。 大昔、たまたまつけたTVに『ですよ。』という芸人が映っていて、漫談というのかコントというのか、お笑い番組だったから、とにかくひょうきんなことをやっていた。 どういうものだったか、書くのも面倒なので、Wikip…